ここでは小型船舶における救命胴衣の安全基準を紹介いたします。
小型船舶用救命胴衣の性能要件は、小型船舶安全規則第53条に規定されています。
以下に、その主な項目を列記します。
1. 誤った方法で着用されないように作られたものであること。
2. 浮力 7.5kg以上(体重 40kg未満の小児用は浮力 5kg 以上、体重 15kg未満の小児用は浮力 4.0kg以上)
3. 非常に見やすい色のものであること
4. 顔面を水面上に支持できるものであること
5. 笛がひもで取り付けられていること
ボンベ等により膨脹させて浮力を得るものの場合は、上の各要件に加えて以下の要件が掛かります。(膨脹式)
1. 索を引くこと等の方法により、膨脹するものであること
2. 口で充気できる給気口が取り付けられていること
呼気により膨脹させて浮力を得るものの場合は、以下の要件が掛かります。(呼気併用式)
1. 気室に充気しない状態で浮力 6kg 以上。
2. 口で給気口から充気できる程度に、水中において、顔面を水面上に支持できるものであること。
3. 口で充気できる給気口が取り付けられていること。
ライフジャケットが国土交通省の基準に適合していることを確認する方法は以下の3通りあります。
1. 型式承認 【多くのライフジャケットは、この方法により基準適合性を確認しています】
プロトタイプに対して型式承認試験を行い、物件の設計、性能、工作精度等が十分であり、かつ事業者に製造能力があることを確認して型式承認をする。以後製造される物件は、型式承認を受けた型式どおりに製造されたものであることを確認する簡単な検査(検定)を行うことにより、基準に適合していることを確認する方法。 事前にメーカー等により型式承認試験、検定が受検されている場合には、船舶検査時の当該物件に対する検査が省略されます。
2. 予備検査
備え付ける船舶の特定前に、物件としての基準適合性を確認するために事前に検査を受検する方法。事前に造船所等により予備検査が受検されている場合には、船舶検査時の当該物件に対する検査が省略されます。
3. 船舶検査
上記1若しくは2の方法により検査を受検していない物件について、オーナー自身が船舶検査の際にライフジャケットの基準適合性の検査を受検する方法です。ただし、個別に基準適合性の確認試験を行うことが必要なため、多大な時間を要します。
「ライフジャケット(救命胴衣)のタイプ別分類」のコーナーでも紹介したように、様々なタイプのライフジャケットが登場しています。
これらのライフジャケットには、タイプ毎にそれぞれの特徴があり、 乗船する小型船舶の用途、航行区域及び構造によって、適当なものとそうでないものとがあります。購入する際には十分な注意が必要です。
また、12歳未満のお子さまが着用する小児用救命胴衣は、次の3種類に分類されています。
(1)体重40kg以上の小児用
(2)体重15kg以上40kg未満の小児用
(3)体重15kg未満の小児用
そのため、お子さまの体格に合うものを選ぶ必要があります。
あなたが着用するライフジャケットのタイプ
(なお、船舶検査を要する小型船舶は、この一覧表で示したタイプのライフジャケットを、法定備品として搭載することができます。)
乗船する小型船舶の種類 |
乗船者 |
ライフジャケットのタイプ |
着用 |
|||
船検 |
用途 |
航行区域 |
構造 |
|||
有 |
漁船 |
海岸より12海里 |
――― |
1人で乗船 |
TYPE A |
着用義務 |
複数人で乗船 |
TYPE A |
努めて着用 |
||||
旅客船 |
――― |
――― |
小児 |
TYPE A(小児用) |
着用義務 |
|
12歳以上の者 |
TYPE A |
努めて着用 |
||||
特殊小型船舶 |
――― |
――― |
小児 |
TYPE A、D、F、G(小児用) |
着用義務 |
|
12歳以上の者 |
TYPE A、D、F、G |
着用義務 |
||||
その他の小型船舶 |
沿海区域以遠 |
――― |
小児 |
TYPE A(小児用) |
着用義務 |
|
12歳以上の者 |
TYPE A |
努めて着用 |
||||
沿岸区域 |
――― |
小児 |
TYPE A、D(小児用) |
着用義務 |
||
12歳以上の者 |
TYPE A、D |
努めて着用 |
||||
不沈性能有 |
小児 |
TYPE A、D、F(小児用) |
着用義務 |
|||
12歳以上の者 |
TYPE A、D、F |
努めて着用 |
||||
平水区域 |
――― |
小児 |
TYPE A、D(小児用) |
着用義務 |
||
12歳以上の者 |
TYPE A、D |
努めて着用 |
||||
不沈性能有 |
小児 |
TYPE A、D、F(小児用) |
着用義務 |
|||
12歳以上の者 |
TYPE A、D、F、G |
努めて着用 |
||||
無 |
漁船 |
12海里以内 |
――― |
1人で乗船 |
TYPE A、D、F、G |
着用義務 |
複数人で乗船 |
TYPE A、D、F、G |
努めて着用 |
||||
その他の小型船舶 |
――― |
――― |
小児 |
TYPE A、D、F(小児用) |
着用義務 |
|
12歳以上の者 |
TYPE A、D、F、G |
努めて着用 |
ライフジャケットの着用事項について違反があった場合、以下の違反点数が小型船舶の船長に対して加算されます。
違反点数
2点
死傷事故を伴う場合
5点
過去3年以内の行政処分 | 当該違反+過去1年間の累計点数 |
有り | 3点 |
無し | 5点 |
上記の違反点数がこの表の基準に達した方は、6月以内の免許停止又は戒告の行政処分が課されることとなります。
ただし、当該行政処分については、「再教育講習」を受講することにより、行政処分の免除又は軽減を受けることができます。
なお、「再教育講習」は、行政処分が課される前に、受講の通知があります。
ライフジャケットの着用措置が免除される場合は以下のとおりです。
1. 救命胴衣の着用が療養上又は健康保持上適当でない場合
(妊娠している、骨折している等の理由によってライフジャケットを着用することが望ましくない場合は着用が免除されます。)
2. 救命胴衣の適切な着用ができない場合
(体が非常に大きいもしくは非常に小さい等の理由によってライフジャケットを着用できない方は着用が免除されます。)
3. 命綱又は安全ベルトを装着するなど適当な措置がされている場合
(船上から海中への転落防止策が適切にとられていると判断される場合には着用が免除されます。)
4. 海上運送法による運航管理規程に従い運航する船舶に乗船している場合
5. 遊漁船業の適正化に関する法律による業務規程に従い運航する船舶に乗船している場合
6. 船室内にいる場合
1.穴があいていないか、使用済みでないかを確認します。このとき、ノズルから息を吹き込むことによって穴の有無を確認します。
2.膨張式の場合は膨張装置が使用済みでないかを確認します。使用済みの場合はスプールを交換します。
3.手動レバーが下に下りていないことと、安全ピンが外れていないことを確認します。
4.ボンベを外し、ボンベに穴があいていないことを確認します。
画像付きの詳しい説明はこちら!
1.ライフジャケットに腕を通し、前のバックルをとめます。このとき、ライフジャケットが体に密着していることが重要です。
2.手動式の場合、紐を引いて膨脹させます。膨脹したとき、膨らみが足りない場合は、口で息を吹き込んで調整できます。
1.腕を通し、前のファスナーを閉めます。
2.左右のベルトを閉めて体にしっかりと密着させます。
1.体にしっかりと密着させるためにベルトを調節します。
2.膨らんだときに、左右のバックルをとめます。
画像付きの詳しい説明はこちら!
日本小型船舶検査機構は、国に代わって小型船舶の検査事務等を行う機関として、昭和49年に運輸大臣の認可法人(昭和62年に経営の自立化及び活性化を図るために民間法人化となる。)として設立され、現在は、全国33箇所の支部において検査事務等を行っております。平成20年度末現在、当機構における検査対象船舶は約418千隻となっています。
また、平成14年4月からは、「小型船舶の登録等に関する法律」に基づき、所有者が不明確なため生じるトラブルや不都合、放置艇、不法投棄などの小型船舶に係る諸問題を解消するために、小型船舶の登録測度事務を開始、平成16年11月からは、平成17年5月の「海洋汚染等防止条約」の発効に伴う「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」の改正に基づき、小型船舶に設置される連続最大出力130kWを超えるディーゼルエンジンを対象に、当該エンジンから排出される窒素酸化物(NOx)の放出量の規制を行うため、小型船舶用原動機放出量確認等事務を開始しております。(なお、当機構における業務の内容については、以下のとおりとなっています。)
機構は、今後もよりいっそう小型船舶の検査の質の向上と受検サービスの充実に努めるため、検査員の研修の充実などを図るほか、持込検査に対応するため検査場の整備などにも積極的に取り組んでいます。
▼業務の内容
- 小型船舶の検査事務
- 小型船舶又は小型船舶に係る物件に関する検定事務
- 小型船舶の堪航性及び人命の安全の保持に関する調査、試験及び研究業務
- 小型船舶に設置される原動機に係る放出量確認、原動機取扱手引書の承認及び
国際大気汚染防止原動機証書の交付に関する業務 - 小型船舶の登録測度事務
- 前各項に掲げる業務に附帯する業務
- 前各項に掲げる業務のほか、当機構の目的を達成するために必要な業務